円盤の売上でアニメの人気を測る時代は終わった?ネット配信の台頭。

最近ガーリッシュナンバーというアニメにハマってます。業界の悪い所をとにかくこれでもかと描いているのですが、普通に仕事するって、良い状況が揃わないと大変なんだなと再認識させられます。

今回は、アニメ業界の話を書いてみます。その中でも、円盤について触れます。

書きたいこと

  • 円盤が売れない。
  • ネット配信が台頭している。
  • 製作委員会方式も廃れるかも。
  • アニメ業界の枠組みが今後変わる可能性。

円盤はもう売れない。

さて、円盤。いわゆるブルーレイディスク/DVDのことです。

まず前提として。又聞きですが、アニメ業界の話をします。

これまで、アニメ業界は円盤で制作費を回収し、場合によっては利益を出すという経営構造でした。

制作費は「製作委員会」という、円盤販売会社やアニメ製作会社、グッズ販売会社や原作サイドの出版社などが、合同で出し合うというものでした。

そして、前述の通り制作費は円盤の売上によって回収する構造だったため、アニメの人気が出ずに円盤が売れないと、プロジェクトそのものが赤字となってしまう、非常にシビアな状況でした。

赤字は製作委員会に降りかかり、関わった皆が損をしてしまいます。

ここ数年は、アイドルアニメがキャストによるライブの申し込みチケットなどの「おまけ商法」「イベント商法」で市場を寡占する状況が続いており、その他の、普通といったらおかしいですが、アイドルアニメ以外のアニメの円盤売上は悲惨な状況となっています。

数字を出してもよくわからないと思うし、わかってる人はわかってるのであえて出さない(あとめんどくさい)ですが、円盤の売上を見るに、円盤の市場は往時の2分の1くらいになっていると推測します。

覇権アニメはもう生まれない。

一部のアニメファンの間では、円盤が売れて、そのクール(1年を4分割した冬・春・夏・秋の放映期間の名称)で一番のヒットとなると「覇権を取ったアニメ」と持て囃されます。

まあ詳しく語ると◯ちゃんねるが話に絡んできてジメッとするので、割愛します。

覇権を取ったアニメの円盤売上が、50000枚だったときと、15000枚だったとき。どっちが「盛り上がれる」でしょうか(あのアニメ超ヒットしたんだぜ、的な)。

答えは明白。ようするに後者が現状なんです。もう、覇権アニメという言葉はアニメファンの間で廃れてきてると感じます。

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ネット配信の台頭で円盤ビジネスが崩壊した。

ネット配信というとイメージが湧きにくいですが、Netflixというと、ピンとくる方も多いと思います。

アニメ・デビルマンのリメイク版を伊集院光が絶賛していて、見てみたいのですが、Hulu・dアニメストア・amazonプライムに金を払っているため、更にNetflixに加入してサービスにお金を払うのに躊躇しています。ですが、アニメが一般化して、オタクのものではなくなった。その結果としての、大衆化。この変化のおかげで、アニメの話題はネット配信などから生まれるようになってきています。かつての、◯ちゃんねるやtwitter中心に盛り上がっていたオタッキーなアニメ界隈は、徐々に一般向けにその姿を変えつつあるのです。

どうして、このような変化が起きているのでしょうか。

ネット配信が広まるのと同期して、円盤の売上は徐々に減少へと転じました。前述のアイドルアニメは、円盤を買ってライブチケットを手に入れることで「二次的な」楽しみを得ることができます。ラブライブがそのいい例です。だから、円盤市場が縮小しても売れ行きが鈍化しにくい。

ですが、その他のアニメでは二次的な楽しみは、残念ながら少ないのです。

さらに、円盤の異常な値段が、ネット配信の手軽な料金に取って代わられたというのも、明確な理由でしょう。

円盤は通常、2話収録で5000円以上します。1クール見ようとすると、30000円以上のお金がかかります。はっきりいって、高い。そんな「ファンアイテム」にそれだけお金を出すファンが、ずーっと存在するというのが異常なのです。市場が飽和しはじめ、それと時を同じくして月数百円で100本以上のアニメを楽しめる配信サイトが出てきた。人びとのアニメ消費の場が、円盤収集からネット配信へと移ったのです。

もちろん、ファンアイテムですから一定の消費者はまだいますし、テレビでリアルタイム視聴にこだわるアニメファンもたくさんいます。ですが、メインストリームは「自宅(首都圏以外)で」「手軽に」「安価で」「好きなときに」見られるネット配信なのです。

2016年のデータですが、円盤売上が418億に対して、ネット配信の売上はすでに478億です。

参照:ネットフリックスは、アニメ制作を根底から変えようとしている

製作委員会方式もやがて廃れるかも。Netflixが制作費を出して独占配信している。

「亜人」といった、Netflix独占配信のアニメは、テレビCMなどでもよく流れて、意外と認知度は高いと思います。下手したらラブライブより高いかもしれません。

こうしたNetflix独占配信のアニメに関しては、Netflix自体も制作費を出資しています。

今後、こうした資本の意向を汲んでつくられるアニメが、ネット配信の台頭とともに増えていくかもしれません。

アニメ制作現場には朗報

アニメ制作の現場も、変わっていくと思います。

というのも、皆でお金を出し合う製作委員会方式では、予算と製作期間に限りがあるのです。

ところが、Netflixをはじめ海外の大資本が日本のアニメに目をつけ始めた。お金と製作期間を潤沢に与えられれば、アニメ制作の現場はそっちに「引っ張られていく」ことでしょう。

予算と製作期間はとても大事。酸素のようなものです。なければ作品が死にます。

このブログでよく感想を書く「3月のライオン」が面白いのも、NHKという大スポンサーがついているからだと思います。

低予算・低コストで作っていたアニメが、徐々にハリウッド式に高コスト体質に変わっていくかもしれません。その是非は、今のうちに議論されるべきだと思います。

中国も本格的に動いてきている。

中国資本の動きも活発です。最近は日本放映のアニメにも中国資本のアニメが進出しており、あまり成功はしていませんが今後もこういった動きは続くと思います。

アニメ業界の枠組みが変わる。

と思います。

まとめ

  • 円盤が売れない。
  • ネット配信が台頭している。
  • 製作委員会方式も廃れるかも。
  • アニメ業界の枠組みが今後変わる可能性。

アニメ業界には暗い話題が続いていましたが、光が差してきた用に感じます。もちろん、中国やアメリカのご機嫌を伺ったアニメしか作れなくなったら本末転倒ですし、制限がなくなったことで駄作が氾濫する可能性もあります。ですが、いい兆候ではあると思うのです。というか、いままでがアニメ制作者にとって厳しすぎた、と思います。個人的には、限られた状況の中で最大限に頑張る日本的職人芸もなくならないでほしいのですが・・・。

コメント

  1. […] 配信と円盤の市場規模が逆転 これからは配信主流に http://sakanazukan.net/ikikata/disk/# […]

  2. 紅野ヒロミ より:

    昭和後期の1983年(vhsなどのビデオソフトの普及期)に誕生したovaが無くなる可能性が令和の現在になって高まりつつありますね。OVAの分数が基本20分(逮捕しちゃうぞのテレビ放送開始に合わせてその分数で製作していたのがきっかけ)あたり(同じ20分物はwebアニメの方が有利)で単発でしか製作していない作品も出てきています。他国では違法海賊配信にまで頼らざるを得ないほどの鎖国レベルの作品(ナナカオ、ハンツートラッシュなど)も少なくありません。
    またコロナショックもあってアニメ製作会社は経営難に見回れており、OVAを取り巻く環境は更に厳しくなりつつあります。平成半ばに誕生したWebアニメに製作本数を追い抜かれるなどovaがなくならないという保証が低くなってきており(のんのんびよりoad(jva日本映像ソフト協会の特殊ルート扱い)は原作漫画最終巻発売を以て製作を終了予定)、今後の予断を許さない状態です。話を変えるが任侠映画などの特定ジャンルが主体のVシネマ(オリジナルビデオ映画)の大手の円盤ビデオソフトメーカーであるオールインエンターテインメント(旧gpミュージアム)はライツキューブの傘下に入っている。ケイエスエスは事実上廃業している(版権はソフトガレージに譲渡)。

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