映画「劇場版 のんのんびより ばけーしょん」感想 幼き頃の旅。

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タイトルにもあるバケーションとは休暇のことですが、この映画では旅行を通した青春時代の貴重な経験を描いています。

アニメ「のんのんびより」シリーズの続編的な作品なので、できれば人間関係くらいは把握してから見たほうがいいです。まさしく、ファンなら必見の出来でした。

以下、ネタバレ含みます。未見の方は、まだこのページを見ない方がいいと思います。内容をある程度理解してから見たいという方には、このページが一助となれば、と思います。

個人的評価(5段階評価)

脚本:3点

アニメーション:5点

メッセージ性:2点

総合評価:4点

短評

ファンなら必見。見てるだけで癒やされること必至

幼い頃にした旅行は、いつまで経っても深く心にその跡が残る。

この映画では、これまでのTVシリーズ同様、れんげ・夏海・小鞠・ほたるら旭丘分校の生徒4人が中心に扱われています。ここにひかげ・このみと、保護者として一穂・楓が引率。楽しげな日常が、アニメと同じように描かれます。

ところで、皆さんは小さい頃した家族や友達との旅行を覚えていますか?僕の場合、一番記憶に残っているのが、家族でキャンプに行った思い出。夜の関越自動車道・北陸自動車道を能登へ向かって両親が運転するその車内。横になりながら高速道路のオレンジ色の赤色灯が流れていくのを延々と眺めていたのが、妙に思い出に残っています。

今でも悔やんでいる思い出は、福島県飯舘村に家族で移住した父親の知り合い一家の、家の庭(めちゃくちゃ広い、それこそ山ひとつが庭)でキャンプしたときのこと。あろうことか、当時同じ世代だった一家の子どもたちと友達になるはずなのに、そこの家にあったボンバーマンと友達になってしまったこと。家に帰った後で親にぶん殴られました。

そんな僕にとって、夏海と、新たな登場人物であるあおいとのやり取りの健全すぎる様子に、過去の自分を思い出して目と心が潰れそうになりました・・・。

そんなわけで、この旅行は偶然の産物ではあるのですが、分校生徒4人(兄ちゃんは話にほとんど絡んでこないので除く。すまん!)にとっても、この旅行は貴重な体験となるのでした。

とくに、夏海にとっては忘れられない経験となります。それはあおいとの出会い。そして、ある意味話の語り部担当はれんげです。夏海とれんげ。そんな二本の線が並行しながら話は展開していきます。

一番のネタバレになりますが、この映画の主役は夏海です。これまでスポットが当たりにくかった夏海ですが、この映画では、これでもかというほどの主役です。

序盤・中盤はいつもどおりの日常。でも実は、主役は夏海です。

この映画、序盤・中盤はいつもどおりの4人の日常を描きながら、終盤は一気に展開します。決して急展開ではないのですが、夏海の心理情景が、のどかな描写から、むしろ溢れ出てくるようで、それをかき集めるように、画面を食い入るように見てしまいました。

序盤のターニングポイントは、夏海とあおいの出会い。沖縄・八重山諸島は竹富島が舞台なのですが、そこの民宿で親の手伝いをしているのがあおい。最初はてきぱき働く・営業スマイルも欠かせないあおいに夏海は「え~」と引いていたのですが・・・。

ひょんなことから、二人は会話をはじめ、お互いの共通点を見つけます。それは母親の怖さ。

そんな他愛もない会話から、二人は馬が合ったのか、急に距離を縮めていきます。これって、まさしくテレビ的ですよね。本土の子どもと、離島の子どもが、お互い別れを意識しつつ吊り橋効果的(?)に急激に距離をつめる。

それは本当に、尊いものなのです。人生を豊かにしてくれる「出会い」です。あおいにはバドミントンで強くなるという夢もあり、そんなあおいに夏海は自らとの対象的な人間像を脳裏に描いていたに違いありません。

美しい八重山の風景。儚く美しい友情。言うことなし。

中盤はいつもどおりの日常。シュノーケリングやカヤック体験。沖縄の美しい景色とともに、賑やかな日々が過ぎていきます。背景に描かれる風景は、もはやのんのんびよりの第二の主役と言ってもいい存在です。それは今作でも同様。カヤック体験のジャングルやマングローブ林の描写など、ため息が出てきます。

そんな折、小鞠の思いつきで忙しいあおいを遊びに連れ出すことに成功(ここらへんはやっぱり夏海のお姉ちゃんだよなあと)し、バドミントンで夏海はボコボコにされてしまい・・・。

ここで、拗ねたりしないのが夏海の描きやすさかな、と思いました。むしろ、ヘトヘトになりながら「まだ終わってない」と呟くほどです・・・。

れんげの、完成しないスケッチはどうなったのか。

ところで↑の方で、れんげが語り部だと述べましたが、そちらはどうなったのか。れんげは夏休みの間、スケッチを続けていたのですが、沖縄旅行について、3つ描きたいものがありました。海・灯台・そしてイルカ。その最後のイルカは、どうしても描けず・・・。

れんげのスケッチが、物語の語り部的にメタっぽい性格を持っているのですね。4人が得た思い出が、そこに描かれると言うか。

ですが、とあるちょっとした事件をもとに、スケッチは完成します。映画を見た後だからこれを言えるのですが、れんげ、大人すぎるよ!!!

そのとある事件とは、旅行の最終日の朝に起こります。夏海が「(あおいとの)別れが悲しい」という意味で、泣いてしまうというもの。「帰らないといけないのはわかってるんだけど、どうしても涙が出てくる」旨のセリフは、こちらもぐっと来ます。よりによって、サバサバしてる夏海に泣かせるか!

もちろん、夏海は意外と甘えん坊というのは知っています。母親にも依存気味だし、お兄ちゃんと結婚したいし、だからこそサバサバを気取っているのかもしれません。

とはいえ、あの泣き方は、リアルすぎて反則ですよ!

そんな夏海も、あおいとの別れ際、涙を見られるのが嫌なのかそっけなく立ち去ろうとします。そこでれんげが「それでいいのか?」と目で語りかける。小学生低学年とは思えない・・・。

夏海は、笑顔でいつものサバサバした感じで、あおいに「今度はバドミントン、負けないから」なんて強がって・・・空港までの帰りの車中でまたひと涙。

それを見たれんげは、3枚目のスケッチを完成させて夏海に渡します。そこには、夏海とあおいの笑顔が・・・、、、

夏海は青春の一ページを、心に刻みます。大人になってからこういうの見ると、しみるなあ。ほんと。

美しく、かけがえのない日常。

この映画のメッセージとしては、「日常は美しくかけがえのないもの。たとえ旅行先の思い出が素晴らしくとも、日常もそれと同じくらいかけがえのないものだ」「小さい頃の思い出は、何歳になっても貴重なもの」というところだと思います。

ですが、それ以上にこの映画はヒーリング映像的効果があって、背景も人物描写も神々しい。

実は、意図的に映画の一番のシーンを、この文章から、省いています。

だって、あんな美しく涙が出てくる描写、説明しろって方が野暮ってもんです。だから、ぜひそれだけはあなたの目で確かめてほしいです。あそこを見るだけでも、価値がある。

ファンなら必見。そうでなくとも、興味本位で見るにはいいかもね。

2018年9月22日現在、上映が終了する映画館もあります。明日行くのがいいと思いますよ。ぜひ。

映画でやった原作部分はこちら。

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