ひきこもりには、いじめ、就活失敗など「きっかけ」があります。ですが、そうした経験をした全ての人がひきこもるわけではありません。
ひきこもりの原因、いったいどこにあるのか。7年ひきこもった僕の経験から書いてみたいと思います。
ひきこもりの「きっかけ」を呼び起こす原因、それは優しさであり弱さ。
ひきこもりは、その多くが優しい人であり、いい人です。それがきっかけを呼び起こすとは皮肉なものですが、いじめのターゲットにもなりやすく、本人も結果の責任を自分に求めてしまうのが、優しい人なのです。
「ネガティブは悪いことなのか?ポジティブさに苦しむ人へ。」で書いたのですが、優しい人はネガティブな人でもあります。そんなネガティブが人の悪意を寄せ付けやすいことはもちろん、本人のいじめられやすい・挫折しやすい性格を形作ってしまいます。
優しい人のなかでも、ネガティブ=自己評価の低い人というのは、特に人生に躓きやすいです。
強い優しさを抱えた人は、正義感から人との衝突を作りやすいです。特に少年期、義憤から行動して人間関係に軋轢を生じる、という場合が多いことが想像できます。
また、自己評価の低い優しい人は、「やり返してこない」だろうと周りからナメられやすいです。
そして、自己評価の低さは、人生のハードルを上げてしまいます。
僕は、この「自己評価が低い」パターンだと思っています。例をあげます。
僕の場合。自己評価の低さが、ハードルを超えられないものにする。
たとえば就職活動。誰でも大変で、嫌なものだと思います。なかにはエモーショナルにこなしてしまう人もいるでしょうが。
僕がひきこもり大学生だった当時、若干売り手市場に傾いていたとはいえ、まだまだ就職戦線は厳しい状況でした。
僕から言えば、まず友だちがいない。就活情報が手に入らないだけでなく、孤独の中で戦わなければならない。それはそれは厳しい展開が予想されました。
結局のところ、僕は3年生になる前に就活から逃げて大学を退学、北海道に「転戦」してしまうのですが・・・。
それはもう、ハッキリと思ってました。「僕には就活は無理」だと。
だって、まともにしゃべれないんですよ。スタート地点が、他の学生の遥か後ろです。おまけにコンプレックス・精神病とやっかいな荷物を沢山背負っています。
そんなやつを「おもしろいねえ」と取ってくれる会社が、果たしてどれくらいあることでしょうか。
就活とは、セルフブランディングの場、即ち自分とはこれだけ会社に価値を与える人間ですよーと、アピールする場です。自分に自信がなければ、それは不可能であり、嘘になってしまいます。
いや、就活生の言葉のうち、いくらか嘘だとは会社もわかっています。その上で、セルフブランディングの上手い学生を取っているのです。
僕はひきこもっている自分を責めていましたし、自分を責めている人間が、「エネルギー開発を行う御社の事業は、インターナショナルな時代においてこれからより重要度を増すものであり、学生時代に学習した英語を通じてその力になりたいと存じます」なんて言えるわけないのです。こんなんでいいのかな?よくわからんけど。
結果的に、北海道へきたことで就活失敗は免れましたが、あのまま続けていたらまずいことになっていた、かもしれない。
ひきこもりへと繋がるいじめの原因も、自己評価の低さから。
僕はどっちかと言えば「やり返してこないやつ」でした。自己評価の低さは、いじめにおいて、その行動ベクトルを決定づけます。つまりは、やりかえさない、やりかえせない、ということです。「嫌だ」の一言も言えないのです。本当は拒絶してやり返すのが最良なのですが、それがわかっていてなおかつ「体が動かない」「口が言うことを聞かない」のが自己評価の低い、優しい人なのです。
優しい人とは、傷つきたくない人でもあります。ゆえに、相手に強い口調で反論することも出来ません。皮肉続きで申し訳ありませんが、傷つきたくないがゆえに傷つけられるとは、いやはや。
特殊な「きっかけ」。それは耳が聞こえない、目が見えないとか。
体や精神に障害を持っている場合、それが自己評価の低さに繋がればやはり「いじめられやすい」、いじめの原因となってしまいます。
ですが、自分に自信を持っていれば、むしろそういった社会でも渡っていくことが出来ます。
特殊な例ですが、こういった人がいじめられるのは、やはり見聞きするだけでも特につらいですね・・・。
「聲の形」というアニメ映画があるのですが、聾(ろう)といじめを扱った作品として話題になりました。もしよければ、勉強がてら御覧ください。といっても、いじめの部分はメインテーマではないですが。
最近、耳の聞こえない人と関わる機会があったのですが、コミュニケーションを取るのが難しいだけで、劣っているとか、めんどくさいといったことはありませんでした。
むしろ、それが彼の個性であり、面白さであると感じました。手話を教えてもらえる機会なんて、めったにないですもん。
本来、お互いの違い、それは自信のあるなしもそうですが、認め合えば面白いものなのです。それをできないのが、人間というものでもあるのですが・・・。
ひきこもりの原因は、学校という構造にもある。
「イジメはイジメられる方が悪い?よくわからん風潮を批判してみる。」で書きましたが、学校という構造の閉鎖性が、いじめからひきこもりを生む「きっかけ」に相当しています。
毎日顔を合わせる環境が、お互いのストレスやいじめを行いやすい状況をつくっているわけですね。
だから、カリキュラム選択制・席順を決めない学校が、ひとつくらいあってもいいのにな、と思います。
まとめ。
いじめの原因は、以下の通りになります。
- ひきこもりのきっかけとなるのは、ひきこもりの優しさ=自己評価の低さ
- ひきこもりへとつながるいじめのきっかけもやはり、自己評価の低さから
- 就活失敗は、自己評価の低さに伴うセルフブランディングの失敗
- 障害者が、障害をきっかけにひきこもることも
- ひきこもりの原因は学校の構造にもある
こうしたことを踏まえて、いじめをいかに防ぐかが、ひきこもりを生まないための対策かと考えます。
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