きみの友だち(重松清)小説感想。友達って何を残してくれるんだろう。

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前に紹介した小説をようやく読み切って、感じたこと。

比べるのもおこがましいですが、僕の文章と重松さんの文章の「伝わる力」のあからさまな違いに、プロとの差を感じました。的確に、正確に描写される情景は、作者にとっての狙い通りの感動を読者にもたらすと思ったのです。

 

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友達ってなに?

僕もこの事については何度か記事にしました。

 

親友がいないと悩む人へ。親友づくりのキモは積極性。でも、無理は禁物。
そもそも、親友とは一体何なのでしょう。僕は、友達の上位互換だと思っています。すなわち、互いに心を許し合う、それでいて依存しあわない心地よい人間関係のことです。 友達同士は雲散霧消することもあるのですが、その中から紆余曲折を経て...
友達との出会いは運命でも必然でもなく、それを求めたかどうか。友達ができない人へ。
昨日知人と話していて、ポジティブなことを文章にするのって、すごく難しいよねという話になりました。ネガティブというか批判的な記事が多かったので、たまには自分なりに前向きな記事も書いてみたいと思います。 僕も昔は友達がほとんどいなかった。 ...
友達がいない、ということの意味。つるむ友達がいない僕の考え。
ちょっと人間関係で痛い目にあって。 そのことで、感じることがあったので書いてみます。 僕には"定期的に遊ぶような"友達がいない 親友はおろか、友達すらも。それでも生きてます。 ひとつだけ言いたい。現代の若者たち(...

 

これは、紛れもなく僕が友達について悩んだことの証です。その事に嘘はないし、嘘を付く意味もありません。

 

読み返すのも恥ずかしいのですが、「きみの友だち」を読んで、さらにその思いは強まりました。

 

友達とは、もはや定義する、されるものではないと感じたからです。

 

作中では、主人公のひとりが「ただ歩く速さが一緒だったから」友達になったんだと述べています。

理屈じゃないんですね。でも、ブロガーとしてはそれを無理にでも文章にして人に伝えたい。だから書いたのだと思います。

 

 

正直に話すと、今も悩んでいます。でも一人で悩んでいたりするだけでは、ヒントは見つからないのかもしれません。

 

そんな悩みに、この小説は確実なヒントをくれました。

 

心に残る傷跡、それこそが友達なのです。思い出と言い換えても良いかもしれません。

そして友達関係は現在の人間としてのレベルの写し鏡でもあります。

それは、笑顔が素敵な人に皆魅了されるような、そんな話です。

 

鋭いというよりも、ほんわかした現実。それが逆に感動を生む。

重松さんの小説はいくつか読んでいるのですが、結構強烈で悲惨な最後を迎える小説が多いのです。

もちろん救いはあるのですが、人によってはそれを悲しい最期だと認識してもおかしくないものもあります。

 

この小説はそれらと比べるとソフトで、ほんわかした雲のような掴みどころのない作品かもしれません。

 

主人公のひとりがまさにその象徴なのですが、彼女の存在が終盤、かなり効いています。

きっと作者が計算して書いているのはここらへんだと思うのですが、なんとも温かい、ゆるい、ほんわかした感涙をもたらします。僕も涙ぐみながら読みました。

 

悲しい、とは違う。温かいのです。いい映画を見ると感じますね、こういう感覚。

感情移入して泣くのではなく、小説で描写された状況そのものを、もっと広い視点で楽しめたがゆえに、泣くのです。

 

中高生向けだとは思うが。

中高生、とくにSNSに振り回されて苦しい中高生、なのかな?最近の中高生に明るくないので。とにかく、迷える学生にとって、この小説はヒントになると思いました。

ですが、過去を振り返って未来へのヒントを見つけるという意味では、僕にとっても良い処方箋でした。

 

友達ってなんだろう、自分なりの答えを見つける、そんな時にはうってつけです。

仕事に忙殺されて何かを犠牲にしがちな大人にこそ読んで欲しいです。

 

この小説を機に。

この小説を機に、無理に友達関係を維持する必要はないな、と思いました。もっとエゴイストでいいし、自分の感覚に素直な方が幸せなんじゃないかと。

 

でもそれは時に、薄っぺらい関係に自らを埋没することにもつながると思います。

 

僕は物事を真正面から受け止めて、直球を相手に投げつけるタイプなので、元来友達には恵まれないのかもしれません。

 

ですが。これからどういう生き方をするかにも依りますが。

 

求道的に、何かを求めて、極めていきたいのならば、むしろ孤独は薬になりうるんじゃないかとさえ思っています。

友達に関する小説を読んで、そりゃまた極端だな、逆説的だなとは感じます。

ですが、薄っぺらい関係くらいなら無い方がいいかもしれない、くらいには吹っ切れたのです。

そのうちいい出会いも増えるのではないかな、と。

 

 

選択肢が一個、増えました。人生とは、選択肢を増やすことと同義です。

この小説のおかげです。感謝です。

 

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