新幹線の通過する本数が多い過疎地域の中間駅というと、一部の方はあまりいいイメージを持っていないかもしれません。
街づくりや鉄道に詳しい方は、安中榛名、奥津軽今別、筑後船小屋などと聞くと「ああ・・・」と思ってしまうことでしょう。
それだけ、新幹線の乗客の目的地となりづらい中間駅というのは、その利益を受け取れず、発展の流れから取り残されがちです。
今回紹介する木古内駅も、北海道新幹線の青森~新函館北斗間の途中にある中間駅です。
ですが、この木古内を訪れてみてわかったことがあります。
新幹線インフラの整備は、必ずしも過疎地域にとってハコモノとしての失敗をもたらすものではないと。
残念ながら街中の写真は取り損なってしまった(2日も滞在したのに精神状況の悪化で車に引きこもってた)ので、こちらの動画をご覧ください。
僕とは別の方が撮った、北海道新幹線開業直後の木古内駅前の商店街の様子です。
新しい建物、商店、観光客・・・。
さすが新幹線駅という印象を持たれた方と、「これが中間駅?」と疑問を持たれた方に分かれるかもしれません。
さすがに現在はここまで人手はありませんが、それでも継続可能な街づくりが行われていて、観光客の姿はそこそこ見られました。
なぜ、木古内駅は失敗例とならなかったのか。一部では残念駅と称されているそうですが、僕はそうは思いませんでした。これでも東京生まれですので、人手の多い少ないはわかるつもりです。
木古内駅について、思う所を書いてみたいと思います。
ぶっちゃけ一観光客の感想なので、そこまで気合を入れず流し見していただければと思います。
そもそも北海道新幹線が大赤字
ご存じかもしれませんが、北海道新幹線はJR北海道の救世主として開業したにもかかわらず、利用客が伸び悩み大赤字を垂れ流しています。その額約100億。
100億があれば、いくつものローカル線を救えたかもしれません。それだけに鉄道好きからすれば評価はわかれるところでしょう。
乗り継ぎも不便というか、ようやく東京から何時間もかけて終着新函館北斗駅(北海道)に来たと思ったのに、札幌方面には4時間程度、函館に行くにも15分程度となんとも微妙な位置に2020年現在の終着駅・新函館北斗があります。
函館には空港がありますから、そっちを選ぶ方もいるかもしれません。
木古内駅は、そのさらに中間駅ですから、残念と言われても仕方ないかもしれません。新幹線の本数も少なく、1日8本程度しか止まりません。
この駅が、なぜ地域に恩恵をもたらしたのか。その実態に迫っていきます。
突然ですが、木古内駅の本体は道の駅です。
突然ですが、木古内駅の本体は道の駅です。
は?と思われるかもしれません。
道の駅と言えば、国道沿いによくある、車で訪れることを想定した休憩・観光スポットです。
ここ木古内駅は、道の駅「道の駅みそぎの郷 きこない」が新幹線駅のすぐとなりにある、異例の駅なのです。
さらに、木古内駅は道南いさりび鉄道の終着駅であり、松前や江差へのバス乗り換え拠点ともなっています。
僕が言いたいのは、木古内駅単体ではここまでの成功は成しえず、道の駅や交通の要衝という特徴があったからこそ、複合的な要素が合わさって町の発展に寄与したということです。
これは逆も言えたかもしれません。道の駅単体で勝負したならば、木古内への訪問客は増えても、地域の商店へ足を運ぶひとはそこまで増えなかっただろうと思います。
道の駅があることで、鉄道利用者とマイカー利用者両方を取り込めた
これは面白いことで、鉄道利用者とマイカー利用者双方が同じ道の駅を訪れることで観光と地元客の総量が増えたのだと思います。
その数1日で平均2000人。町の人口が4000人ですから、その半分ほどの人が訪れたことになります。
木古内駅は、町の中心部にあります。中心部に人が集まると、どうなるか。
観光客・地元の住民双方にとってメリットがある結果が想定されます。
まず、たくさんの客をあてにした商店・飲食店が進出してくる。
蕎麦屋からスナック、夜間も営業するレストランなどなど。
ざっと数えただけで、10以上ありました。
さらに、ツルハドラッグ、セイコーマートも駅前にあります。
当然のように郵便局もあります。
これは、人口4000人台の町としては異例の充実ぶりです。
僕は北海道の田舎町をいくつか見てきましたが、ハコモノがそろっている町はあってもどこか寂れた印象の付きまとう町ばかりでした。
木古内の洗練ぶりにはびっくりしました。とくに、道の駅のダイニングレストランと、ツルハドラッグが進出しているのは驚き。
国道を少し車で走ると、ローソン・セブンイレブン・ホーマックニコット(ホームセンター)、公衆浴場など暮らしに必要なものは一通りそろっているとも言えます。
今後、建設中の函館江差自動車道が木古内まで伸びてくるので、函館からの観光客はさらに増えると予想されます。
懸念要素は、道南いさりび鉄道の利用者が少ないこと。
観光にふりきった路線という印象ですが、函館から木古内まで乗りとおす利用者は、木古内駅から出てくる人や列車の乗客を見ている限り、かなり少なかったです。
なんとレンタカーまである!
なんと、道の駅の方にタイムズのシェアレンタカーが2台あります。
これで周辺観光地へ足を延ばすこともできます。
結論:成功要因は少なくない利用者を町の中心に集めたこと
初めから計算しつくされていたのかは定かではありませんが、新幹線駅と道の駅を隣接させたのは大成功だと思います。
普通、ストロー現象といって、新幹線ができると大都市に新幹線駅のある町の人口が吸い取られてしまうという結果を招いてしまうことが少なくありません。
木古内町もその影響にあるのか、人口は減少し続けている過疎地域です。
そんな町が、集客2000人の「駅」を持っていることは、持続可能な町づくりにおいて、大きな武器です。
ただ単に道の駅を作っただけでは、同じ効果は得られなかったはず。
僕は過疎地域の一つのモデルとして、もっと取り上げられるべきだと思いました。
もちろん、これは感想文に過ぎないので、成功したかどうかすらも地元の人から見れば賛否がわかれている可能性はあります。
ですが、町の雰囲気・活況というのはどうしても肌でわかってしまうもの。
寂れた町に若者はなかなか移住してきません。
木古内町の長らくの繁栄を祈っております。
道の駅みそぎの郷きこないの売店で売っている塩クリームソフト。塩分と糖分が絶妙にマッチしてレベルが高いです。
他サイトでの道の駅木古内の紹介事例
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